横沼~横岳沢(個人山行)     2022年7月8日(金)      M.MATSUSHITA撮影
















ガチャボッチ(俗称)湿原偵察山行           2022年7月18日提出 (提出者 M.MATSUSHITA)    

山 名:横沼~横岳沢(南八甲田)

山行日:2022年7月8日

参加者CL: S.NARITA SL: N.YOKOTA 記録・写真: M.MATSUSHITA  ゲスト: T.ITO   4名

ルート(記録):城ヶ倉大橋黒石側P~沖揚平登山口(標高742m)7:00→くの字湿原(1200m)8:45→横沼(1115m)9:40→(湿原)小沼10:20→(湿原)横岳沢11:40→滝口(1125m)12:00(休憩)12:25→(湿原)小沼13:30→(湿原)横沼14:00→くの字湿原15:00→沖揚平登山口16:10~城ヶ倉大橋黒石側P解散

山行記

 「ヤブこぎ」。何事にもピンからキリまであるものだが、横岳の沢に広がる深奥部は甘えを許さない。鬱蒼と茂る根曲がり竹が前後左右どころか、頭上から襲い、足元は海面の波のようにすくわれ、流される。聞きしに勝るものだった。

「ガチャボッチと呼ぶところに行けないものか、それも花の時期に」。T.ITO助教から聞いたのは2021年秋。酸ヶ湯にある植物園担当の前任が残した記録にこの奇妙な名の地への足跡があるという。私の手に余る話だが好奇心が湧いてきた。CLに話を振ると知ってはいるが未踏という。ヤブこぎには定評のSL N.YOKOTAさんが加われば百万力だ。

悪天で一度延ばした山行日。ガスが上がり、まずまずの空模様を見上げながら、横沼への登山口から入山した。タケノコ採りの季節は終わったようで、ギンリョウソウを見ながら人っ子ひとりいない山道を登り1時間。十文字と赤ペンキで大書した大木のある「広場」でヤブこぎ、沢登りに備え衣替え。私はヘルメットを被り、長靴に簡易スパイクを装着したが、T.ITO氏はタオルのほっかぶりだけ。国内外の秘境を歩いてきたようで、最後までこのスタイルを通したのには驚いた。

歩を進める。斜度がきつくなりヤブこぎが始まる。平然と進むCL。この程度では終わりそうもないのが分かる。ようやく前が開けると「くの字湿原」。眼前に北八甲田の地獄湯沢がくっきりと。シナノキンバイの黄がさわやか。どれも背丈が高い。「栄養価が高いためかも」とT.ITO氏。ひと息入れてヤブに分け入る。一段と密生してきた。はじめのヤブがレベル1なら、レベル2だ。沢を下ると倒木にキノコのサモダシ。この時期のものは柔らかくおいしいらしい。

逆川岳のふもとに横たわる、まさに横沼。いつ来ても感激する。ここで見るコバイケイソウは汚れがなく真っ白。ニッコウキスゲ、ウラジロヨウラク、ハクサンチドリ、ほとりにミツガシワ。お花畑だ。倒木に今度はマスタケ。マスの身の色から名付いたというだけあって、紅色が鮮やか。食用になるという。

沼のへりを伝い、ヤブと草に隠れた、くぼ地にはまりながら進む。今度は湿原に囲まれた小沼。ここもお花畑が広がる。「サカナがいた」とSL。再びヤブをこいで湿原に出る。左側奥に回り込むと膝丈を超す川。足をすくわれ川に落ちるとズボンどころかザックごとびしょ濡れだ。

その先にはまたも背丈を超すヤブが待つ。意を決し、コンパスを頼りに進路は南。レベルは3を超して4だ。トドマツ、ダケカンバの枝も絡まる。気もちが萎えそうなころ、大きな沢が現れた。横岳沢だ。ゴロゴロ転がる石と岩を足掛かりに登り詰めると5メートルほどの滝が待ち受けた。CLは「今回は偵察、ここまで。めどは立った」と。