ガチャボッチ探索(個人山行)   2023年7月21日     M.MATSUSHITA撮影
















個人「ガチャポッチ(俗称)湿原を探る」

2023年7月28日提出(提出者 M.MATSUSHITA)

目的地:南八甲田ガチャポッチ

山行日2023年7月21

メンバー:(CL)S.NARITA (SL)N.YOKOTA (記録・写真)M.MATSUSHITA
        ゲスト T.ITO(東北大学学術資源研究公開センター・助教) T.BABA(農研機構
果樹茶業研究部門・研究員

ルート:城ヶ倉大橋黒石側P、沖揚平入山口(標高743m)500→くの字湿原(1200m)640→横沼(1114m)750→小沼(1117m)800→(支沢8551210m地点945→支沢)横岳沢入口(1130m)1020→大湿原(1195m地点)1145→(昼食休憩)→横岳沢出口1320→横沼1445→くの字湿原1525→沖揚平入山口、黒石側P1650

探訪記

 人呼んでガチャポッチ。横岳から南東に延びる稜線、分水嶺1250m付近を越えると見えてくるはず。猛烈、強烈なヤブをこいでも植物研究者が一度は目にしたいという高層湿原。草花がひっそりとたたずむのでは‥。残念だが、今夏も幻のままに終わった。

 昨年夏に続き2度目の探訪だ。その日は安倍元首相が銃弾に倒れた7月8日だった。ともかく、横岳沢で通せんぼのように待ち受けた、滝口まではたどり着いている。ルートはしっかり記録していた。その先の分水嶺までは厄介なヤブもそれほどでなさそう。NARITA CLは沖揚平入山口に夕刻まで下山できるなら、日帰り可能と判断。出発を2時間繰り上げた。

 天気は上々、タケノコ採りシーズンは去り、静かな山道を登る。まずは横沼を目指す。草木が開けた広場からはいよいよ、ヤブこぎの難行が迫る。くの字湿原、横沼、小沼、湿原と標高を上げるが、この間はオオシラビソを囲むように、すべて根曲がり竹のヤブだ。ヤブの洗礼は昨年受けている。覚悟のうえだ。石がゴロゴロ転がる沢に出る。

標高1100m、昨夏の地点なら順調な足取りに違いない。沢を詰めて進むがどうも様子が違う。YOKOTA SLが「滝が出てこない」、GPSを携帯するITO助教は「目標よりずっと西、横岳に向かっている」。この沢は横岳沢ではないかも。NARITA CLが「間違えたようだ。出合いまで戻る」と。

吹き出す汗をぬぐい、ようやく昨夏の入渓地点へ。1時間20分のロスは夕刻までの下山には痛い。気を取り直し横岳沢を登る。高さ5メートル余りの滝が2つ。なんとか越すと“名無し”の大湿原が現れた。夏の到来が早過ぎたのか、ニッコウキスゲ、ウラジロヨウラク、キンコウカも寂しげ。湿原を“サカナ”に昼食タイム。

下山を決め、来た道と沢をたどる。相変わらずのヤブをこぎ、小沼に向かう湿原の先、クマの姿が目に飛び込んできた=ITO助教撮影。1頭だ。両耳が立ち、様子を探るようにこちらをじっと見ている。そういえば午前にこのヤブで強烈な悪臭が鼻を突いた。クマのテリトリーだったと知り、ぞっとした。

ガチャポッチ探訪、来年夏に3度目はあるのかどうか、さて?